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「自分を受け入れること」から学んだチームづくり
前回、和歌山県田辺市にある高垣工務店さんを訪れ、「自分を受け入れること」が人材育成や地域への影響に どんな力を持つかを学びました。
今回はその続編。
同じく田辺市にある創業300年の企業・山長商店さんに伺いました。
山長商店さんは、植林・伐採・製材・乾燥・プレカットまで、すべての工程を自社で一貫して行う、 まさに“木と共に生きる”会社です。
今回の訪問では、山長商店さんが管理する「山長の森」に実際に入り、木を伐採する工程を間近で見学。
さらにその後、製材・加工までの流れを工場で見させていただきました。
中でも一番驚いたのは、伐採した原木の搬出方法です。
紀州の山々は傾斜がきつく、重機を入れるのも一苦労。そんな中で採用されているのが 「架線集材方式」という方法です。
これは山の中に空中でワイヤーロープを張り、伐採した木を吊って搬出するというもの。
想像以上にスケールが大きく、まるで空を飛ぶように木が移動していく様子に圧倒されました。

実はこのワイヤーを張る作業、人が実際に山の急斜面を登って行っているのだそうです。 自然との距離が近く、そして自然の力に真摯に向き合う仕事の姿勢に、ただただ感動しました。
そして、伐ったら終わりではありません。
木を伐採した場所には必ず植林が行われ、森の循環が守られています。

最後に、伐採された木材は工場に運ばれ、工場では工程ごとに職人さんたちの確かな目が光ります。
一つひとつの木材に対して検品が行われ、最後は機械による測定。
合格したものだけが山長ブランドとして印字され、世に送り出されていきます。

この“1本の木が製品になるまで”の流れをすべて見せていただいて感じたのは、 「品質は、技術だけじゃなく“人の目”と“想い”でつくられている」ということでした。
そして、その品質に自信を持つ背景には、測定結果の記録を1本ずつ残すという、 地道で誠実な積み重ねがあるのです。
300年という長い年月をかけて育まれてきた技術と、自然との共生。
高垣工務店さんで感じた“人づくり”と、山長商店さんで学んだ“環境との関わり”。
田辺の地には、未来につなぐヒントがたくさん詰まっていました。
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